修学旅行の朝の出来事
2024.10.30

修学旅行の朝
これまで教師として20回以上、児童たちと一緒に修学旅行に参加してきた
毎回のように感じるのは、当日の朝、「全員が無事に集まることができるだろうか」という不安だ
特に集合時間が早朝であることが多いので、子どもたちが全員元気な姿で揃うかどうかは、
私にとっても心配の種だった
修学旅行と子ども
そのため、事前に目的地について学び、旅行に臨むための知識を共有することはもちろん、
子どもたちにはそれぞれ役割を決め、班のリーダーを中心に自分たちで行動できるよう、
日頃から主体性を育てる準備を念入りに進めていく
リーダーが積極的に活動を引っ張り、班内で協力し合う経験を通して、
彼らは大切な思い出を築くだけでなく、集団生活の中で成長していく
小学校の6年間と修学旅行
また、6年間の中で修学旅行が持つ意味合いは特別で、
多くの児童にとって一生の思い出に残る一大イベントであり、大切な行事だ
もし万が一、「修学旅行に参加できなかったら」と思うと、
その子にとってどれほどの心残りになるのかは計り知れない
そんな一生に一度の体験を、全員で楽しく安全に過ごせるよう、
教師としての役目を全うしたいと思っていた
実際、卒業文集などを見ても、修学旅行の思い出を書き残す子が非常に多く、
その経験がいかに心に残っているかが伺える
修学旅行当日
修学旅行当日の朝、出発前には、子どもたちの名札を私の机に並べ、
登校してきた子どもたちがそれぞれ自分の名札をつけるという流れで出席確認をする
そして一人ひとりがしっかりと名札をつけているのを確認したうえで、いよいよ出発となる
大きな行事であるため、バスの出発も朝早いことが多いのですが、全員が元気で登校してくれるか、
まずここが一番気がかりだ
これまで私の経験では、幸運にも修学旅行を欠席する子どもは少なかったのだが、
それでも当日まで緊張が解けることはない
出来事
そんなある年、修学旅行当日の朝、予定通り出発しようと準備を進めていたその時、
突然保護者から一本の電話が入った
「娘が修学旅行に行きたくないと言っています」という内容だった
その子は6年生の女子で、普段からおとなしく控えめな子である
集合時間は早朝の6時で、出発は7時というタイトなスケジュールだ
時間の猶予がないため、私は急いで彼女の家に向かった
家に到着すると、母親は困り果てた様子で、子どもはまだパジャマ姿のまま座り込んでいた
修学旅行への参加を断念するか、それともどうにか説得して連れて行くか、
判断を迫られた
時間的にも説得する余裕はなく、
まずは持ち物を急いでまとめ、私の車に積み込んで出発の準備を整えた
しかし、子どもがまだ気持ちの整理がついていない様子で、
このまま連れて行くには少し不安も残る
普段から寡黙で控えめな性格で、
周りに自分の気持ちを表に出すことが少ないタイプの子だった
また、修学旅行が行われる5月は学年が始まって2ヶ月足らずの時期でもあり
私自身もまだ子どものことを十分に理解しているわけではなく、
どのように接すれば良いのか迷いもあった
しかし、修学旅行は学年や学級全体が協力して行う一大イベントである
子どもたちにとっても特別な機会であり、ぜひこの体験をしてほしいという思いから、
私は一か八かの言葉をかけることにした
私は彼女に向かって、「今すぐ着替えないと、そのままの姿でバスに乗せるよ」と伝えた
少々強引な言い方でしたが、何とか参加してもらいたい一心の思いだった
私の言葉に、子どもがどう反応するか一瞬不安にもなったが、
その言葉が伝わったのか、彼女は黙って私の指示に従い、
すぐに着替えを済ませた
そのまま私の車に乗り込み、
無事に集合場所まで送り届けることができたのだ
修学旅行はその後、何の問題もなく進み、子どもたちは楽しい時間を満喫した
帰校後も学年全員が旅行の思い出に浸り、笑顔で話し合っている姿を見ると、
教師としても安堵の気持ちが込み上げてきた
まとめ
そして、6年生の一年も無事に終わり、彼女も無事に卒業し、中学生となった
この修学旅行にまつわるエピソードは、私にとっても忘れられない貴重な思い出として心に残っている
子どもたちにとっての特別な行事を、全力で支え、無事に思い出をつくることができたことは、
私にとっても教師としてのやりがいであり、
子どもたちと過ごす日々のかけがえのない一瞬を改めて感じさせてくれた出来事だ
修学旅行と子どもの成長の関係について
子どもたちにとって修学旅行とは、小学校の生活や行事の中で一番楽しみにしている最大の行事です
小学校の卒業文集の中でも最も人気のある記事(話題)は、修学旅行の思い出です
子どもにとってこの修学旅行という行事が、小学校の楽しみや思い出とともに、
どんな意義があるのか
考えてみたいと思います
学習指導要領では、集団宿泊的行事として臨海学校とともに特別活動に分類されます
卒業式や入学式などの儀式的な行事、運動会や陸上競技大会などのように体育的行事、
音楽会などの文化的行事、避難訓練なども含めて特別活動は幅広い分野です
まず、特別活動の目的は、
「児童や生徒が望ましい集団活動を体験することで、社会性や協調性、自主性などを育む」ことにあります
・より良い学校生活や人間関係を築く力
日常の集団活動を通して、お互いを尊重し、協力しながらより良い学校生活を創り出す力を養う
・自主的、実践的な態度の育成
活動の計画、運営、評価に主体的に関わることで、自ら考え行動する力を育てる
・望ましい集団としての一員としての自覚
集団の中での役割や責任を自覚し、社会の一員として望ましい態度や行動を身につける
・自己の生き方を考える力
様々な活動を通じて、自己のあり方や生き方を深く考える機会を得る
このような目的で、学級活動、児童会・生徒会活動、クラブ活動、学校行事などを行っています
修学旅行は、この取り組みのどの要素にも取り入れた行事です
修学旅行の準備では、
「学級会」を開いて、修学旅行における様々な係活動や行動面の約束を話し合います
話し合ったことを実際に活動として実践するためには、
「児童会活動」で培ってきたリーダーシップも必要になります
仲間との協調性も大切な学びです
「クラブ活動」のような、自主性主体性も修学旅行には必要です
「学校行事(運動会、遠足、文化祭など)」を通して身につけた、
仲間との一体感や達成感を経験した成果を発揮していきます
このように修学旅行は、ただ楽しい行事であるだけではなく、
一年生から学校生活で学んだ、総合力を発揮することが必要な行事であると言えます
また、行き先を調べて冊子にしたり自由活動の時間の使い方を話し合ったり
当日までにすることがたくさんあります
修学旅行が終われば、行ってきてどうだったか、学級会や班活動で話し合います
修学旅行という子どもたちにとって楽しみでビッグな行事をやり遂げ
小学校であれば卒業式へと最終コーナーを走りきっていきます
子どもたちは、行事をやり節目節目をみんなで乗り越えることで、
成長への階段を上っていきます
特別な場合、病気などによっていけなかった子がいることも、私も経験があります
大変残念です
この事例のように、万全の対策を取ってきても、たくさんの人数を抱えている以上
何が起きるか分かりません
修学旅行に出発し、元気に帰ってくることが最大の目的です
「楽しかったね、よかったね」と言う気持ちをみんなで共有できたときに
子どもたちも将来忘れることのない思い出を胸に、成長していくことは
間違いの無い事実です
修学旅行が子どもの成長に及ぼす影響【まとめ】
修学旅行が子どもの成長に与える良い影響は、集団行動における社会性の育成や
自主性・自立性の向上、そして、非日常的な体験を通して学ぶ力の進化など、
多岐にわたります
1.社会性と協調性の育成
修学旅行では、子どもたちは先生や保護者がいない状況で、友達と協力して行動することが求められます
この過程で、集団の中で自分の役割を自覚し、他者を尊重し、協力するこのの重要性を学びます
普段あまり話さないクラスメイトの意外な一面を発見したり、共同生活の中で連帯感が強まったりすることも、大きな成長につながります
2.自主性と自己管理能力の向上
旅行の計画を立てる、限られた予算を管理する、時間を守って行動するなど、
修学旅行では自分のことを自分で管理する力が養われます
予期せぬトラブルに直面した際に、自ら考えて解決策を探す経験は、
問題解決能力を育み、事項肯定感を高めます
3.学習意欲の向上
旅行先の歴史的建造物や文化、自然に触れることは
五感を刺激し、教科書だけでは得られない深い学びをもたらします
例えば、歴史の授業で習った場所を実際に訪れることで、
その出来事への理解が深まります
この体験が、更に学校に帰ってからの学習に対する知的好奇心や
探究心を高めるきっかけになります
4.視野の拡大
普段の生活圏から離れた場所で、異なる文化や人々と交流する経験は、
子どもたちの価値観を揺さぶり、視野を広げるよい機会です
このように修学旅行は、子どもたちが楽しみながら得られる
学校では可能でない学びと、学校でそれまでに培ってきた学習や力を
屈指して行うことができる、有意義な学校行事と考えられます

サロン概要
アクセス
- 所在地
和歌山県御坊市 - 電車でお越しの場合
御坊駅下車 - 営業時間
平日9:00~17:00 / 土日祝定休
090-9621-7137
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