高2女子Sさんのケース(母親と娘の関係)
2025.05.11
ある日の火曜日、午後の昼休み、事務所に電話が入った
高校2年生、娘の母親である
母親が言うのには、昨日から娘が
「学校に行かない」といって休んでいる、
どうしたらよいのか困っているとのことであった
父母と娘三人(妹二人、本人長女)の家庭だ
娘が自らの意思で二日間休んでいて、家で寝ているということであった
元々友達が少なく、高校一年生の時に連れていた友達二人と
クラス替えによって分かれてしまったとのことであった
中学校ではバレーボール部、高校では文化部に入っていた
1回目の電話では、できる限り多くの情報を得る必要がある
話を聞くことで、母親の話したいという思いと情報を得ることの
両方を満足させるために、
母親は、小中学校から友達が少なく関係づくりが苦手である
勉強は普通より少しできる子である
姉妹との関係もよい
親子の関係もよいということであった
高2になって、弁当は一人で食べることが多いのだという
子どもの情報は、母親からしか得ることはできない、が
相談をしたい、話をしたいという思いを持っているのは、母親である
相談者は子どもではなく、母親である
まずは、母親の悩みや思いを聞き取っていく
情報が十分ではないが、話を聞きながら一定の方向に進める努力をしていく
誰もがそうだが、「どうすればよいか」
分からない、それが正直なところである
学校はどうだろうか?
この女子生徒の学校に行きたくない、学校に足が進まない気持ちを
どこまで理解しているだろうか
一般的に、人間は、環境におかれ生活していくと、疲弊していくものである
少しずつエネルギーがなくなっていくのだ
1か月か何週間か、少しずつ疲れてきたのは容易に理解できる
「独りでいる感覚」であったのかもしれない
母親に話をしたのは、
まずは、学校に連絡を取り様子を伝えること、
担任に状況を伝え理解してもらうこと、
これは、「学校で何かあったのか?」
というような立場ではなく、
「知らせること」に必要性である
知ることで、担任や学校は目を配るようになる
知らなければ何もできない
特に中学校以上は、担任といえども教科担任制である
朝と帰りのホームルーム、教科の授業でしか、教室には来ない
そして、
大切なことは、
『これから連絡を取り合うことができる関係をつくっておくことである』
このことを母親に話した
この母親とは、この後数回話をすることになる
その間に、経過は良好で大きく休むこともなく回復していった
母と娘の親子関係について(メンタルオフィスKaze代表の視点)
ジェンダーの問題は、人権問題ではなく
親と子どもの関係で性別に関して影響はあると考えられます
母と娘は当然女性同士です
父親よりも身体的な面では話はしやすいのですが、
同性であるが故に難しい面も時には出てきます
娘が母親を女性としてみてしまうと
反発も生まれてくることも考えられます
父親と娘の関係よりも、人生において最も深く複雑な絆があります
多くの母娘の関係では、感情を共有できる深い共感があります
娘は、母親から多くのことを学び人生に大きな影響を与えます
思春期や青年期には自立を求める娘と、
保護したい母親の間で葛藤が生じます
衝突が起きることもあります
同性としてみてしまうところに、
微妙な感情が生まれます
母親と娘の間に、時代とともに変化する社会や価値観により
感覚的なギャップも生じることがあります
母と娘は深くつながり、人生においても困難も喜びも、
支えとなりながら人生を歩んでいくことができます
娘が不登校になった、不登校傾向に陥ったときに、
母親は、心配のあまり精神的に不安定になってしまう場合もあります
言いたいことを言わないで辛抱することもストレスになるでしょう
「オープンなコミュニケーション」を心がけて、
自分の感情や考えを冷静に率直に伝え、娘の意見にも耳を傾けることが大切です
高校2年生ともなれば、娘は精神的に大人です
娘の人格や選択を尊重し、独立した個人として認め対応することが望まれます
不登校であっても適切な距離感を保つことが大切です
お互いのプライバシーの尊重も健全な関係の維持には重要です
母と娘の関係は、人それぞれですが、
人生のパートナーとして、
一生付き合っていける太い絆があります
あなたは心配しないで、
娘を信じて関わっていってください
