ある日の火曜日、午後の昼休み、事務所に電話が入った
高校2年生、娘の母親である
母親が言うのには、昨日から娘が
「学校に行かない」といって休んでいる、
どうしたらよいのか困っているとのことであった
父母と娘三人(妹二人、本人長女)の家庭だ
娘が自らの意思で二日間休んでいて、家で寝ているということであった
元々友達が少なく、高校一年生の時に連れていた友達二人と
クラス替えによって分かれてしまったとのことであった
中学校ではバレーボール部、高校では文化部に入っていた
1回目の電話では、できる限り多くの情報を得る必要がある
話を聞くことで、母親の話したいという思いと情報を得ることの
両方を満足させるために、
母親は、小中学校から友達が少なく関係づくりが苦手である
勉強は普通より少しできる子である
姉妹との関係もよい
親子の関係もよいということであった
高2になって、弁当は一人で食べることが多いのだという
子どもの情報は、母親からしか得ることはできない、が
相談をしたい、話をしたいという思いを持っているのは、母親である
相談者は子どもではなく、母親である
まずは、母親の悩みや思いを聞き取っていく
情報が十分ではないが、話を聞きながら一定の方向に進める努力をしていく
誰もがそうだが、「どうすればよいか」
分からない、それが正直なところである
学校はどうだろうか?
この女子生徒の学校に行きたくない、学校に足が進まない気持ちを
どこまで理解しているだろうか
一般的に、人間は、環境におかれ生活していくと、疲弊していくものである
少しずつエネルギーがなくなっていくのだ
1か月か何週間か、少しずつ疲れてきたのは容易に理解できる
「独りでいる感覚」であったのかもしれない
母親に話をしたのは、
まずは、学校に連絡を取り様子を伝えること、
担任に状況を伝え理解してもらうこと、
これは、「学校で何かあったのか?」
というような立場ではなく、
「知らせること」に必要性である
知ることで、担任や学校は目を配るようになる
知らなければ何もできない
特に中学校以上は、担任といえども教科担任制である
朝と帰りのホームルーム、教科の授業でしか、教室には来ない
そして、
大切なことは、
『これから連絡を取り合うことができる関係をつくっておくことである』
このことを母親に話した
この母親とは、この後数回話をすることになる
その間に、経過は良好で大きく休むこともなく回復していった
