ひらがなを、抑揚も無く、たどたどしく読む
文章を「あ・い・う・え・お」と読む
漢字は読めないでいた
毎日の国語の時間は、低学年のころから
特別支援学級で「漢字の練習」を続けてきていた
特別支援が級担当者は、「不可能です」と答えた
H君には漢字を習得するのは不可能だという意味だ
私は、それはどうかと思った
低学年から漢字等の学習を見てきている
6年生になって「不可能」とは、何事かということだ
H君の本質や特質をもっと正しく見てやってくれたのか
H君の何年間を担当してきているのである
私は、今さら「不可能」との結論を出してしまうことに
穏やかにはなれなかった
漢字は練習をすれば覚えられるのか
特別支援教育のおいて、様々な角度から子どもを見る必要がある
学校では、特に大切な教育である
学校の中で、一番大切にしなければならない
中心におかなければならない特別支援教育である
彼の今までの貴重な時間がもったいないのだ
いかにその時に必要な教育を間違いなく進めていくかだ
時間は取り返すことはできない、戻ることはかなわない
猛省すべきである
学校では朝の一定の時間「読書タイム」に取り組んでいる
この読書タイムに取り組んだのは、
「読み聞かせ」である
H君と私が二人組になって読書する
私が読み聞かせるのである
二人で選んだ本は「ハリー・ポッター」である
「読書タイム」に、H君は読めないできたのである
授業でも同じだが、分からなくて学習にならない子を
そのままにしておくことはできない
この読み聞かせは、二学期末まで続けていくことになる
H君については、
学習等における能力ある、運動もできる
ひとつ苦手なことは、「字を読む」ことだった
学校のテキストは、基本的には、すべて文字でできている
理解するのも、記録するのも、字を用いることで学習ができる
その学習の基軸となる識字が苦手なのはかなり痛い
算数では、数字は読めるが問題は文字であるため、文章題は難しくなる
私のH君への指導は、「視覚、聴覚を使え」である
「聞いて学ぶ」
「見て学ぶ」
のである
聞くのは分かるが、「見る」とは、
社会や理科などで、写真やグラフがある
写真の情報量は非常に大きい、
読み込める子どもも少ない
H君への学習は、私がテキストの内容を解説することだ
どんなことが書いてあるか
意味は?
要約したり要点を伝えたり、
「聞いて頭に入れる」「見て情報を頭に入れる」
そんな学習に意識して取り組ませることにした
テストなどでのアウトプットは難しいのだが、問題を読んでやる
将来、高校入試でも対応をしてくれる
能力があっても、「読めない」という困難を抱えると
大きなマイナスとなってしまう
私にとっても初めての経験である
H君は私と一年間を過ごし、卒業していった
追記、
3学期になって、H君は、私に読み聞かせをゆっくりではあるが
してくれるようになった