【事例記録】小学校入学から学校になじめない女子児童に対する生徒指導の取り組み
2025.05.29
【事例記録】生徒指導指導事例報告書
【事例名】小学校入学とともに学校になじめない女子児童について
1.状況
保健師としては、特に発達に課題があるわけではないため、
子どもの特質について問題とは捉えていなかった
保育園の担任も、何事もまじめに取り組む子であること、
友達とトラブルを起こすこともないことから、世話のないこと捉えていた
気になる点は、保育園のころから、
おとなしい子どもでひとりで過ごすことが多かった
小学校入学後は、学級のみんなと一緒に行動することが苦手で、
欠席することもしばしばあった
2.本人、家庭の状況
・家族構成:両親、妹の4人家族
・性格傾向:もともと友達は少なく、人間関係づくりが苦手
比較的自分の意思通りに行動する
ごっこ遊びが好きで大人と関わって過ごしている
・ 学力:理解力はあり何でもできる力を持っている
・親子関係:両親とも穏やかで子どもの考え等を尊重した関わりができる
・学校生活:学級の児童となじむことができず、別室での登校を続けている
・現状:欠席することは少ないが、遅刻が多い
友達と関わると疲れが出る
学習も別教室で行っている
3.指導目標
【短期目標】
友達や集団で活動することが本人のプレッシャーになっている
元来持っている性質が保育園時より変化せずに小学校へ就学している
そこを改善することと学習の遅れを出さないことにある
【中長期目標】
児童の学年が上がるに従って、次第に親離れし、自立していくことである
自らの学級で学習と生活を過ごすことが目標になる
4.取り組み・指導・計画
①学校全体における指導取り組みと確認事項
学校に通うことができることができるように、
まずは学校に慣れていくことのある
・一時避難的な教室を用意し、学級集団とは可能な教科領域を選択し、
教室や特別教室、行事等で関わりを深めさせる
・スクールカウンセラーの積極的活用
定期的な母子の相談
・校内生徒指導委員会
・気になる児童(不登校)ケース会議
・職員会議での共通理解
・担任の定期的家庭訪問と相談
・家庭の希望を取り入れた取り組み
・教科指導のてこ入れ及び担当
②中長期を見据えた児童の進路指導等の整備
将来児童が自己の未来への希望を持って進路(進学)を歩んでいけるように
関係機関が力を合わせて整備する
・小学校入学時から記録を積み上げて次学年につなぎ、
進学時に活用できるように作成する
・中長期の視点を持って取り組みを構築する
・学年が上がるに従って申し送りを充実させ、
誰が対応しても適切に行えるように、学校として取り組む
5.具体的な指導
・無理なく学校生活が送れるように、特別に設定した教室に登校させる
・必ず担当者が出迎え、必要に応じて母親にも同席させ不安の内容にさせる
・遊びやゲームを取り入れたり、児童の興味関心に触れた学習内容を用意したり
学校生活や学習に取り組めるようにする
・保健室を活用し、養護教諭に指導に当たらせる
・学級担任と指導責任者は常に連携し、両者意思疎通を十分に図り
齟齬なく指導に当たる
・学級に子どもたちのとの交流を積極的に行う
・学校全体の理解を図るために指導内容の職員会議等での報告を適切に行うとともに
指導内容に記録を取る
6.成果と課題
担任だけでは難しい対応と指導である
生徒指導主任をリーダーとして、生徒指導部会、学年会、全体の職員会議へと
拡大させ、ベストな取り組みになるように、「生きた指導」を心がけた
取り組んで確認、確認して取り組む、PDCAのチャックを行い、
プランと改善と実施と改善と、プランに活かしていった
児童は、不登校に陥って、長期間学校に来られなくなったことは無かった
不登校に陥るのが回避できたことは最大の成果であるが、
学級集団との関係を作れたのか、
「つかず離れず」の一定の間隔を置いた関係にいた
それは無理に間隔を詰めていくことは、もちろん考えなかった
児童の将来の夢は、歯科衛生士になること
実際に歯科衛生士の仕事に就いている
自分で何かを黙々と人と関わらず
つくりあげる仕事ではない
人と関わること、患者さんの大切な歯に関わる仕事である
本児童の課題に寄り添って取り組むこと、
教室に入れ込んでいくことが完成ではないと考える
「教室で学ぶ、学級の子どもたちと遊ぶ」
これは、目標であり願いである
学校の持つ財産を屈指し、どの子にも取り組んでいくことができることである
「3.指導目標」に対し、この項での「成果と課題」に評価を得たいと考える