「不登校と家庭環境~親としてできること~」

はじめに:不登校は「家庭のせい」ではない

不登校がここまで増えてきた原因が「家庭」にあるとするなら、
非常に単純な問題になります
しかし、そうでしょうか?

不登校への対応がここまで難しい原因は、「不登校の多様性」にあります
学校や友達、先生、学習、社会環境、親、挙げればきりがありません
また、原因がひとつであれば、まだ対応するにしても分かり安いですが
様々な要因が幾重にも複雑に絡み合って
「不登校問題」をつくり出しているなら、
それはもう絡み合った糸をほぐすときのように、
途方もない作業が必要になってきます

「親や家庭」の影響を子どもは受けて大きくなっていきます
影響は大きいでしょう
小さいわけがありません

親の子育てにも問題はあります
「過保護」に育ててしまうと多くのマイナス面を将来に残すでしょう
しかし、「過保護イコール不登校」とはならないのはもちろんのことです

家庭や親は、不登校の一要素、背景に過ぎません
かといって、ではすべてが家庭の外にある問題と捉えるのは早計です
親が自らの子育て、家庭環境を振り返りつつ、一定の影響力を踏まえておくと
間違いは犯さないと考えます

子どもへの関わりや取り組みの方向性が、
家庭という大きな環境を排除してしまうことになってしまいます

その上で、「家庭環境は要因のひとつ」と捉えることで、
絡み合った様々な子どもへの影響を解きほぐしていく「解決の力」になります

では、「不登校と家庭環境~親としてできること~」について
書いていきたいと思います


家庭は”安全基地”になっているか?

あなたにとって、心の落ち着ける場所はどこですか?
あなたの子どものころに、家庭は心の落ち着ける場所でしたか?

子どもにとって、何よりも自分が「ここに居れば安全だよ」
と思うことができる場所が、何よりも大切です

その安全基地でできることは、
「疲れを癒す
逃げ込めば安全だと感じる
どんなことからも身を守ることができる
エネルギーを溜める
活動への意欲を持つことができる
勇気を得ることができる」
など、子どもに有形無形の力を与えることができます

子どもだけではなく、大人にとっても大切な心の拠り所
「安全地帯」

安全地帯があればこそ、勇気を持って多くの困難にぶち当たり
乗り越えていけるのです

「家庭は安全地帯」

また、不登校の子どもにとっては、
家庭でいる時間が必然的に多くなります

緊張したり学校に行かないことでの罪悪感を抱えたりすることなく
ゆったりとした気持ちで過ごすことができたら
子どもがエネルギーの消耗することなく、
元気を取り戻していくことも早まっていきます



親子関係のあり方

子どもが困ったときに「相談」された場合、どんな対応をすればよいのでしょう

「あなたも気をつけなければダメよね」
「そんなときは、こうあるべきよ」
など、親として子どもに正しいことを伝えたいという思いで、
アドバイスを含めて「正論」を話してしまうことは
よくあることではないでしょうか

子どもは何を求めて困りごとを親に話すのでしょうか
思いを想像してみてください

まずは、
「そうね」
「そう思ったんだね」
「なるほどね」
「分かるよ」
など、
子どもは、あなたには味方になってもらいたいのです
「共感」してほしいのです

求めているのはアドバイスではありません
「ちょっと違うな」
そう思うこともあるでしょう
それはまたの機会にしてください
いったん共感です

そうすることで子どもは自然に
「あなたに話をしたい、聞いてもらいたい」
という気持ちになります

思春期になると、子どもは親と一定の距離を取ろうとします
誰にでも経験があるでしょう

そんなときに、小さかったころの信頼関係が力を発揮してくれるのです
「指導」する気持ちは、分かりますが、後回しにしてくださいね



家族全体の空気感

「家族は平等であること」

一人ひとりが尊重され大切にされる関係と雰囲気を醸成することです
大人同士の関係も大きく影響を及ぼします
家庭の中で上下の関係ができあがっているとするなら、
子どもにとって窮屈で自由に自分を出せる場所では無くなってしまいます

子どもは、親の顔色を伺うようになってしまうでしょう

家庭の空気が子どもにとって「守られるところ」であるか
反対に「緊張感を持って過ごすところ」であるか、
大きな違いです

家庭の土台は、
「会話があり」
「笑いがあり」
「安心できる」
そんな場所で無ければ、
子どもにとって息苦しい環境であると言わざるを得ません

親のできることは、家庭を構成する大人が
「しつけ」と称して子どもにきつく当たることではありません

「でも、子どもを育てるためには必要なことでは?」
と思われる方もいらっしゃると思います

私の今までのコラムで書いてきましたが、
子育ては「極端に甘やかすこと」でも「極端に厳しく育てること」でもありません

子どもが
「やっぱり家はいいよね」
「お母さんと一緒に居たら落ち着くよね」
言葉に出さなくても、そう感じられるような雰囲気を
心がけてつくってほしいと思います




“よい親”であろうとしすぎない

親は一生懸命です
その時その時、一番ベストであろう選択をします
子どもに対して「よかれ」と思って行います

「完璧な親をめざす」つもりはないと思いますが
"よい親"でありたいのはすべての親の気持ちです

しかし、"よい親"のイメージは、
どうつくられるのでしょうか?
自らの親が反面教師となって、"よい親"のイメージがつくられるかも知れません
また、こうありたいと思う気持ちが"よい親"の
イメージをつくり出すかも知れません

子どもにとっての"よい親"は、どんな親でしょう?
「もっと自然な、自分のもとに降りてきてくれる、それほど所謂立派では無い親」
かも知れません

あなたは、無理に気負うこと無く
子どもと一緒に考え悩み、時には他人に助けてもらってもいい
穏やかで自然なあなたらしい親でいてください
そうすれば、子どもは緊張せずリラックスして、あなたと一緒に歩んでいくでしょう



子どもの不登校への向き合い方

子どもが学校に行っていない状態「不登校」は、
親にとって非常につらいことです
「早く学校に戻ってほしい」、
親の願いです

毎日心を痛めながら、耐える日々ではないでしょうか

少し考え方を変えてください
確かに学校に行かなくてよいわけではありません
でも、長い見通しの中で子どもと歩んでいくのですから、
慌てないでください

「でも落ち着いてはいられないよ」
そうですよね、十分の承知しています
それでも、あなたのできることは、あなたのコントロールです
それしか無いといっても言い過ぎではありません
できることは、「自分のコントロール」です

子どもに言いたいこと、したいこと
様々出てきます
子どもが学校に行くのか行かないのか、動きが分からないこともあるでしょう
ヤキモキすることも多いでしょう
どうでもいいと開き直ることもできません

そこであなたにしてほしいのは、
・学校に無理に行かせようとしない
・あなたのできることで無理せずやる
・学校と連携する
・家庭の雰囲気、空気をゆったりとした感じにする
・子どもが学校に行かないことで焦らないようにする

以上のことをお願いします

  

家庭でできる、子どもの”心の栄養”

子どもの様子にアタフタしてしまう
親ですから当然ありますよね
学校に行かない子どもを目の前にして、
現在進行形で過ぎていく時間に置いて行かれるような気がしてきます

あなたが、様々な人から
「勇気」や「エネルギー」
がもらえると感じることがあるとき、
あなたの心を「何が温めますか?」

ふとしたことで、ふとした瞬間で、
温まると思うのです

「小さな小さな、小さな喜びが、相手の気持ちが、あなたの心を温め
あなたの自己肯定感を高めます」

あなたの素直な気持ちが、子どもの心を温めると思います

家庭内での「孤立」防いでください:あなた&子ども”ひとりで抱えない”

家庭そのものが孤立しないようにすることが大切になります
家庭だけでできることではありません

不登校の子どもを抱えた家庭が孤立してしまい、
外界から隔絶されることは、非常に最悪です
学校や関係機関と相談する関係をつくり、家庭にも来てもらい
風通しよくすることが必要です

クレームではありません
積極的に学校と関わっていくことが必要です
もちろん学校の仕事でもありますが、期待できなかった場合に
あなたの行動が必要になってきます

あなたも子どもも"ひとりで抱え込まない"ことが
本当に重要です

社会からの孤立が一番避けなければなりません

関係機関やカウンセリングなど、あなたの関わりやすいところから
スマートフォンを使って探してください!

終わりに:家庭は「再出発の場所」になる

最終的な目標は、「学校復帰」ではありません
いつの間にか、学校復帰が目的化していくことが考えられます
違いますよね?
子どもの未来は、学校にあるわけではありません
子どもの将来にあります

「家庭」っていいところだよね
そんな気持ちを将来子どもが振り返っていれば、
あなたは大成功!
親としての素晴らしい仕事を成し遂げたことになりますよね

家があることで「勇気とエネルギー」をもらった
どこに居ても、人生の中で家があった
簡単では無いですが「家庭環境をつくっていきましょう」

さあ今日から再出発です
何から始めましょうか?

このコラムは、
「不登校と家庭環境」を考えてきました
すべての大人が自分が育ってきた家庭に対して
肯定的なイメージを持っているとは限りません
持っている人は少ないかも知れません

親のパーソナリティによって、家庭の色は変化します
時代によっても親の姿勢は違うでしょう

しかし、もうあなたの時代、
あなたの色、
子育ても1度きり、
あなたの子どもが親となっていく時代に、
「あなたの子どもでよかったよ」
こう思ってもらったら、何と幸せなことでしょう

もう一度親子でスタートしてください
何も怖れることはありません
あなたらしく、できることをやってください

家庭は、あなたらしさの集大成ですからね


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