不登校が増えることと先生との関係
2025.06.24
学校にいる大人は「先生」です
子どもと大人の関係ですから、
子どもは先生からプレッシャーを受けることがあります

はじめに:なぜ先生との関係が不登校に影響するのか
学校における先生とは、どういう存在であるかを考えると、
「影響力」があることは否定できない事実です
大人であることに加え、学習や生活等に対して指導する立場にあるからです
先生と子どもに相性が合ってはいけないのですが、それでも何十人もいる子どもたちですから、
先生も子どもも人間同士であることや、やり方や方針など合う合わないがあっても不思議ではありません
私も教師をしているときに、
「子どもと合う合わないでやっていてはいけない」
と気をつけて日々活動を行ってきました
学校での先生は、子どもにとって頼りになる存在でなければなりません
相性の問題ではなく、先生として関わっていく中で、
子どもに「安心感」を与えられる、自分のことを分かってくれる、
信用できる存在である必要があります
先生と子どもとの関係は、子どもの問題ではなく、先生の問題であると考えます
このようなことから、子どもが学校でどう過ごすか、
先生という大人とどう関わっていくか
先生の人柄によって、仕事への理解や子どもへの理解によって
「不登校」に影響すると言わざるを得ません
不登校の原因として「先生との関係」は挙げられますが、
先生としては、「不登校の原因」を自分のせいであるかないかについて、
早計に判断することはできないという、難しい面もありますが、
意識しておくことは大切ですね

子どもが感じる先生との距離感
子どもが先生に話をしやすいかそうでないか、
これも先生のスタンスが大きいと考えます
先生はどのように子どもに自分自身を開いていくのか、
考えることが大切です
子どもの性格によって、気さくに声をかけられる子もいれば
そうでない子もいます
何日も話をしたことがない子もいるのではないでしょうか
子どもに、
「先生と話をしたことがある?」「あればどんな話?」
など聞いてみるとどうでしょう
先生も自身で確認することも必要です
先生は「何でも分かってもらえる」大人です
先生にも個性はあります
でも、「話しかけづらい、相談しづらい雰囲気」は、学級経営を行っていく中で
マイナスでしかありません
また、「怒られるのではないか」「こんなことを言ったら成績に響くのではないか」
など、子どもに心配を与えるようではいけません
「子どもとの距離感を詰める」ために、
先生の力量として研修と研鑽を積んでほしいと考えます
「子どもが距離感を感じさせない先生に」

子どもとの信頼関係があるとないとでは大違い
子どもが家から学校に向かいます
そんなときに、子どもは友達と遊ぶこと、勉強のことなど
いろいろなこと思いながら学校に向かいます
学習内容や友達のことで「不安に思う日」もあることでしょう
先生が学校の子どもすべての思いを理解している状態は、不可能です
でも、学校には先生もいるし大丈夫と思えるかどうかです
そんなメッセージを子どもに届けられるかどうかです
それは、日々の対応によってつくられていきます
安心も同時につくられていきます
子どもにとって学校とは、時にはストレスを与え、
自分にとって難しい課題に直面するハードルの高いところでもあります
「先生が自分のことを笑顔で迎えてくれる」
大人にも言えることですよね
信頼できる人が自分の周りにいてくれることで、
心がふっと楽になっていきます
「あの先生になら話せる」と子どもが思うこと、
「何か心配なことや困ったことがあれば先生に言いなさいよ」
と、言葉で言っても子どもには届きません
子どもは、先生の様子を感じています
先生を信頼できないと学校そのものが不安な場所になってしまいます
「子どもに信頼を感じてもらえる先生に」

先生の関わり方が子どもに与える影響
では、子どもが安心を積み重ねていける先生の態度や行動とは、
どういう感じでしょうか
子どもは先生の動きや行動、発言、他の子どもに対する対応など
すべてを見て判断しています
語りかける言葉も大切ですが、行動はもっと大切です
発言だけに終わってしまえば、
子どもは「先生の言うことは本当かな?」と感じます
困っているときに声をかけてくれる、適切なタイミング、
友達に対して行っている指導も疑似体験します
きちんと見ている、注意を払っている、気遣いをしてくれる、
見守るのと働きかけるバランス、
先生は、学習や生活について子どもを評価しています
子どもも同じように、先生の教室内での動きや対応を見て
自然に評価しているのです
叱る先生は厳しいと感じるより、必要なときに叱ることは
むしろ安心を与えます

担任以外の先生との関係
学校には担任の先生以外に、多くの先生がいます
校長
教頭
音楽などの専科
養護教諭
スクールカウンセラー
担任の先生もこれらの先生と連携して
子どもたちの指導に当たっています
担任の先生は少しかたぐるしく感じる場合もありますが、
気軽に話すことができる先生も子どもたちにとって大切な存在です
役割を分担しながら子どもたちに関わっていくと
開かれた先生との関係をつくっていくことができるでしょう
担任の先生も自分だけで抱え込んでしまわないように、
教師の連携をつくっていくことが大切になります
職員会議や日々の学習活動の中で、
情報共有も風通しのよい集団づくりとして
大切になります

親が取り組める先生との関係づくり
今まで述べてきたことは、先生自身に考えてほしいことでした
では、先生任せで何もできないのか
それでは、親として見ているだけになってしまいます
かつては、学校に任せておけばよいと、子どもを学校に預けている
そんな時代もありました
しかし、それも学校と家庭が一貫して同じ方向を向いていたところに良さはありました
今の時代、多様な考えで多様に子育てを行っていくことが
様々な個々の課題に対応することにもつながっていきます
まして、不登校がこのように増えてきた時代です
学校と家庭がより深く連携し、子どもを理解して教育を進めていくことが必要です
先生は、子どもを理解しようとして、毎日がんばっていますが
授業の準備や書類、成績関係の処理など多くの事務的な仕事をこなしながら、
日々子どもたちと学習や活動をしています
物理的に時間が少ないということは非常に大きな課題になっています
そんな中ですので、家庭からも苦情ではなく適切に子どもの様子を伝えること
知らせることが大切になりなす
学校と親が敵対的になっては元も子もありません
学校と家庭で半分ずつ過ごす子どもです
先生も連携し情報を共有するスタンスを確認しておいていただければと思います
子どもの様子は、学校と家庭どちらの気づきも大切です
連絡帳、電話、面談などで連絡する関係をつくっていきたいですね

理想の先生とは
これも難しいテーマです
先生は人間です
子どもも親も人間です
子どもが描く「こんな先生だったらいいな」も十人十色、千差万別
求める先生像は違ってきます
30名のクラスであれば、30通りの「先生像」
親も含めれば30×30通り
ところが担任の先生は一人
「優しい先生がいい」「遊んでくれる先生がいい」
「勉強を上手に教えてくれる先生がいい」
「話を聞いてくれる先生がいい」etc.
あらゆる好みがあるでしょう
すべてを満足させることは、できるのでしょうか
それは先生には難しい
しかし、「理想の先生像」は、あると思います
ただし、子どもにとっての「好みの先生像」ではありません
好みに合うからいいのではないのです
子どもたちに対してどのように関わっていくのか
それを理解をしている先生が理想です
すべてうまくいくとは限りません
基本的に大切なことがあります
・よい学級をつくっていくことが大切であることを知っている
・その方法を持っていて理解している
・子どもからの信号を敏感に察知する感性を持っている
・子どもとコミュニケーションが適切にとれる
・個々の子どもを理解する能力がある
・子どもたち自身が中心になって学ぶ授業をつくっていくことができる
・保護者と連携できる
・他の教師との情報交換が適切である

おわりに ー子どもにとって”先生”は大人の代表ー
お店に行っても、気に入った店員さんがいる
いつも行く病院の先生と気が合い相談しやすい
いつも行く歯医者で、あの歯科衛生士さんがよい
反対に行く気がしない
こんなことありますよね
子どもや親は、先生を選ぶことができません
このコラムの中で話してきた
「合う合わない」
先生と子どもとの人間関係の中で、
ややもすると不登校につながってしまう要素にもなります
乗り越えるべきハードルです
先生が子どもの心を理解せず、とにかく厳しい
これも困ったもの
厳しいのはいいのですが、、
ぜひ、厳しい中にもよい関係をつくっていってほしいのです
ただし、やさしいと言われる先生にも問題があるかも知れません
学校にいる大人は「先生」です
子どもにとって非常に大きな影響力を持っています
先生は、自分の影響力を自覚してほしいと思います
繰り返しですが、不登校の原因の中に
「先生との関係」があります
先生が不登校の原因をつくれば、本末転倒ですよね
絶対に避けなければならない原因です
子どもの特質によってもとらえ方感じ方が大きく変わってきます
難しいことではありますが、
十分に理解しながら研鑽を積んでほしいと考えます
学校は、「先生と気が合い学校に行くのが楽しい」
これはいいと思います
しかし、「気が合わず学校に行く気がしない」
これはよくない、
「先生と気が合い学校に行くのは楽しい」
この理由の中には、先生の多くの努力や取り組みがあることは、
想像に難くありません
結論は
「不登校が増えることと先生との関係」は、
「先生の努力で解決すべき」です
しかし、これを先生に伝えるのが非常に難しい!
無意識であるかも知れないし、
「あなたの努力が足りない」とも言いづらい
ほとんどの先生は、よかれと思って日々教育の仕事にまじめに勤しんでいます
よほどの問題がある場合は別ですが、
適切にコミュニケーションを取っていくこと、
子どもの現状を伝えて配慮してもらうことを、
伝えていくことが必要です
親のあなたも子どもの性格によって
不登校の可能性があると感じるなら、気にかけておいてほしいと思います
解決につながるような話ではなかったかも知れません
しかし、知っておいてもらうことで、
対応の仕方が変わっていくと思います
